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メダカ飼育と水の性質~さまざまな水質によるメダカたちへの影響~

メダカを飼う際にまず気になるのは水をどうするか。手軽に水道水?近所を流れる川の水?お店に行ってミネラルウォーター?庭の隅に掘ってあった井戸水?それぞれ違いがあって良いところもそうでないところもあります。みなさんのお宅の環境からみてメダカの飼育水にはどの水を使用するべきなのでしょうか。

水の性質(水素イオン濃度、硬度、炭酸塩硬度、粘度)

メダカ飼育に関係する主な水の性質には水素イオン濃度、硬度、粘度、その他不純物があります。

水素イオン濃度は水に含まれる水素イオン(H)の濃度で、水素指数pH(ピーエイチ、ペーハー)で表現されます。pH0~7で酸性、pH7~14でアルカリ性を示し、中性はpH7です。

硬度は水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計含有濃度で、gHで表現されます。硬度の分類は国や地域によって異なりますが、ここではWHO(世界保健機関)の水質ガイドラインにおける分類を紹介します。0~60mg/L未満は軟水、60~120mg/L未満は中程度の硬水、120~180mg/L未満は硬水、180mg/L以上は非常な硬水と分類されています。

炭酸塩硬度は炭酸水素イオンの濃度で、kHで表現されます。この濃度が高いほどpHを急変させない働きがあります。炭酸塩濃度は酸性、アルカリ性物質により消費されるため、なくなるとpHが急変しやすくなります。

粘度は水の粘性の度合いで、mPa/sで表現されます。温度と反比例の関係にあり、温度が上昇するにしたがって粘度は下降します。また、水の含有不純物が増加するにしたがって粘度は上昇します。

その他不純物に細菌類、化合物、金属類などがあります。これらの含有成分は水の性質への影響、生体への直接的、間接的影響を与えるため、メダカ飼育で水の状態を見るうえで上記4つとともに重要な要素となります。

上記のpH、gH、kHは市販の観賞魚用水質検査薬で手軽に確認することができます。水質検査薬にはこれら3つに加えてアンモニア値、亜硝酸値、硝酸塩値なども検査することができるものがあるため常備しておくことを推奨します。

水の出所による性質の違いとメリットデメリット(水道水、地下水、河川水)

水道水は浄水場で処理をされて上水道で配水される水を指します。原水の性質がそのままであることもありますが、浄水処理の過程で使用される薬品、配管の素材やその劣化具合などによって性質が変わることもあります。薬品は主に凝集剤、凝集補助剤、酸化剤、吸着材が使用されます。原水の状態によって薬品の使用量や種類が変わり、それによって水道水の性質も変わります。詳細は各都道府県、各市の水道局が水道水質検査結果を公表しています。また水道管の種類によって重金属が含まれることがあります。水道管の多くは樹脂製のほとんど無害なものが使用されていますが、金属管が使われていることもあります。金属管には鉛、水銀、ヒ素、銅などの重金属が含まれており、管からそれらが水に溶け出した場合は生物に悪影響を及ぼす危険性があります。集合住宅の高架タンクや業者管理の配管、古い湯沸かし器にも重金属が含まれる配管が使用されていることがあります。日本のほとんどの地域の水は軟水であり、軟水では重金属の毒性が高まるため、軟水の地域では重金属の危険性は高まります。

参考

全国水道水質データベース公益社団法人日本水道協会

水道水のメリットとしては最も身近で手軽に使用することができること、他の水と比較して安定した性質を持っていることが挙げられます。デメリットとしては上記の薬品や重金属の影響を受けるリスクがあるため、メダカ飼育に合わせて観賞魚用の薬品で無害化する必要があることが挙げられます。

地下水は地表面より下を流れる水を指します。湧水は地下水が一定の地質的条件下で地下水が地表に湧き出た水であるため、ここでは地下水に含めます。湧水を除いて地下水は井戸から採水されます。その深度により性質は異なり、一般的に浅いほどにその地域独特の地質的な影響を強く受け、深いほどに純粋な水に近くなります。深度の目安としては岩盤があります。岩盤より上の水は地質的影響を受けやすいためpHとgHの偏りがあることが多く、金属類などの不純物が含まれやすくなります。岩盤より下を流れる水は濾過されて不純物をほとんど含まない純粋な水であることが多いです。

地下水のメリットとしては手動汲み上げ式であれば水道代がかからないこと、電動ポンプ式であれば水道代より電気代の方が安い地域の場合は節約になること、深い地下水であれば純粋な水が得られることが挙げられます。デメリットとしては浅い地下水であればpHとgHの偏りや金属類などの不純物による生体への悪影響のリスクがあること、水脈の変化により水が枯れてしまうリスクがあることが挙げられます。

河川水は地表面より上を流れる水を指します。一般的に山水や川水と呼ばれています。ここでは流水に限らず池や湖などの止水も含みます。河川水は植物や藻類、動植物の死骸や糞尿などの影響により一般的に酸性に偏ります。天候の影響により水質が変化しやすいです。上流で生活排水や工業廃水が流されている場合には水質が悪いことが多く、それらが流されているときと流されていない時の差もあり、より一層水質が安定しません。細菌類や病害虫、微生物が含まれています。上流ほどこれらの影響が少なく、下流ほど多くなる傾向があります。

河川水のメリットは微生物や濾過細菌が含まれていることがあるため飼育水の種水としての利用や餌用微生物確保に利用ができること、デメリットとして酸性に偏る傾向があること、水質の変化が激しいこと、細菌や病害虫が高確率で含まれていることが挙げられます。

地域による水の性質の違い

日本のほとんどの地域の水は弱酸性、軟水が多く、九州地方では弱酸性~中性、軟水~中程度の硬水が多く、関東地方では中性、中程度の硬水~硬水が多く、石灰質の極めて多い沖縄県やカルスト地形周辺では弱アルカリ性、硬水となっています。その他、温泉のある地域では強い酸性、非常な硬水など極端な性質を持つ水であることがあります。

一方、ヨーロッパをはじめとした諸外国の多くでは中性~アルカリ性、硬水~非常な硬水が多くなっています。海外のミネラルウォーターが飲料水として流通していますが、それらは日本の水とは性質が大きく異なることが多いためメダカ飼育には使用しないことを推奨します。

メダカ飼育に適した水とは

メダカ飼育に適した水は弱酸性~弱アルカリ性(pH6.5~7.5)、軟水~中程度の硬水で有機質を適度に含んだ水が適しています。メダカは環境適応能力が高いため、徐々に慣らすとpH7.5以上のアルカリ性、硬水にも適応することができますが、地域的にそのような性質の水でない限りはあえて使用する必要はなく、むしろそのような性質の水の地域では水の酸性化、軟水化の対策を多少講じなければメダカにストレスを与え続けてしまうため、長期的な安定した飼育、繁殖が比較的難しくなります。

水の性質やその違いによって起きる可能性のある問題と対処方法

水の性質によってメダカに問題が発生することがあります。pHショック、粘膜異常、塩素や重金属による健康被害、病害虫被害です。

pHショックはpHの差によってメダカがショックを受けて体調を崩したり、死亡したりすることです。長期間水替えをしていなかった水槽の水を大量に替えたり、他の地域から輸送してきたメダカを水槽に入れたりする際などに発生することがあります。長期間水替えをしていない水槽の水は元の水の性質から大きく変わっていることがあります。その状態で大量の水替えをするとpHショックを起こす危険性があります。また他の地域から輸送されてきたメダカを導入する際に元の地域の水とのpHの差によりpHショックを起こす危険性があります。これらの問題は入念な水合わせをすることによって対策することができます。沖縄県、関東地方、九州地方、その他カルスト地形の石灰質の多い地域や温泉のある地域での飼育、またはそれらの地域から輸送されてきたメダカの導入にはpHショックは特に注意が必要です。また換水や導入時以外に、kHの低下により飼育中にpHショックが起きることがあります。kHが0の場合にはpHの急変が起こりやすくなるため、日頃からkH値を確認して0になる前に換水することで対策することができます。

MEMO
pHは低すぎても高すぎても生体維持には不向きですが付け加えるなら”メダカの繁殖にも不向き”です。なぜなら受精率が落ちてしまうから。受精しなければ当然孵化しませんし増えませんよね。河川上流部、いわゆる源流域、渓流域の水や都市部の汚れすぎた水を産卵、孵化水槽の水に採用するというのはお勧めできません。

粘膜異常はメダカの体表を保護する粘膜が凝固、剥離、溶解したり、粘膜が分泌されなくなったりする異常です。極端なpHにさらされたり、長期間硬水にさらされてストレスを感じたりすると発生することがあります。粘膜はタンパク質でできているため、極端な酸性、アルカリ性にさらされると酸変性、アルカリ変性により凝固して塊となって剥離したり、溶解したりします。そのような異常が起きている場合はストレスで粘膜が新しく分泌されにくくなっているために体表を保護できなくなり、病気にかかりやすくなったり、寄生虫に寄生されやすくなったりします。長期間硬水にさらされたストレスにより粘膜を異常分泌して体表に粘膜が凝固したり、粘膜の分泌が止まったりする場合もあります。この問題も沖縄県、関東地方、九州地方、その他カルスト地形の石灰質の多い地域や温泉のある地域での飼育では起こりやすいため、特に注意が必要です。極端なpHの水を飼育水に使用しないようにすること、硬水~非常な硬水を飼育水に使用しないこと、pHショックの対処と同様のkH値の確認と必要に応じた換水、定期的な換水で対策することができます。

塩素や重金属による健康被害は水道水を飼育水に使用した際に発生することがあります。水道水には塩素、配管の種類によっては重金属が含まれます。これらは生体を中毒死に至らせます。この問題は観賞魚用の塩素や重金属を中和、沈殿させる薬品を使用することで対策することができます。

病害虫被害は病原菌や寄生虫を含む河川水を利用すると発生することがあります。なるべく使用しないようにするか、滅菌や殺菌をして使用します。滅菌や殺菌をせずに使用する場合は上流の不純物の少ない水をpH値とgH値を使用するごとに確認しながら使用することを推奨します。

まとめ

メダカ飼育に関係する主な水の性質には水素イオン濃度、硬度、炭酸塩濃度、粘度があり、その他に不純物があり、それらに影響を及ぼします。それら性質は水の出所と地域によって異なります。水の入手元には水道水、地下水、湧水、河川、湖沼、市販ミネラルウォーターなど様々あり、それぞれに特徴、メリットとデメリットがあります。またそれらは地域によっても異なります。一概にこの水はこうである、この地域の水はこうである、といった断定はできませんが、この地域のこの水はこのような傾向があるという認識を持っておくことは重要なことです。水道局や研究機関、その他関係機関が公表している水質検査結果を参考にしたり、自身で水質検査薬を利用して検査をしたりして水の性質を把握したうえで水を選択し、メダカ飼育に使用することでそれらによって引き起こされる問題を発見したり、対処したりすることが可能となります。設備や地理的条件などで水を選択できないこともあるかもしれませんが、対策をとることはできます。メダカを健康に育ててメダカ飼育をより楽しむための一つの参考となれば幸いです。

参考

全国水道水質データベース公益社団法人日本水道協会

 

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