「よくあるお問い合わせ(Q&A)」を更新(5/13)

メダカの病気と症状~病気になりにくくする飼い方を添えて~

メダカは丈夫な魚で適応力もある強い魚です。ただ急な環境変化やストレスには弱く、特に昨今のインブリード系統は繊細になっています。まずは病気にならないような飼育をし、それでも万一なってしまったらこのページを参考にしてみてください。

メダカは病気になりやすい魚?

メダカは環境適応能力が高い丈夫な魚で、日本産淡水魚の中でもトップクラスで丈夫であり、基本的には病気になりにくい魚です。ただ、自然下のメダカは生存に適した場所へ移動したり、生存にあまり適していない環境であっても環境変化が比較的緩やかであるために適応したりすることができます。一方で、飼育下では限られた環境の中で、それゆえに急激な、極端な環境変化が起こりやすく、丈夫なメダカでも適応しきれずに自然下と比較して病気になりやすくなっています。

さらに、飼育下で累代飼育され続けたり、品種の改良固定の過程で選別、交配、固定がされたりしていく中で体質が繊細化してきており、個体や品種によっては病気になりやすくなってきています。自然下では体質を弱くする劣性遺伝子を持つ個体は自然淘汰されていきますが、飼育下ではそういった個体が生き残ることができます。品種の中にはその遺伝子を持ったものが品種として優れた表現をするものがあり、それらが選別、交配されているため、体質が繊細になってきています。品種により繊細な部分が異なるため、病気のかかりやすさは異なります。また、品種によって性格の傾向があり、それもまた飼育管理方法や環境によっては病気を引き起こす要因となります。もちろん、比較的強い品種も個体や飼育環境によっては病気になりやすくなります。

メダカが罹る主な病気(病名:症状:原因:治療方法)

【 エロモナス感染症(立鱗病、鰭赤病、赤斑病、ポップアイ) 】

運動性エロモナス菌による感染症です。エロモナス菌は魚の腸に常在する条件性病原菌です。条件性病原菌とは常に存在する菌で、魚の免疫力が衰えた場合に生体に感染し症状を引き起こす菌のことです。立鱗病は松かさのような状態になることから松かさ病ともいわれます。

初期症状:肌つやの悪化、体表各所に皮下出血の発生

中期症状:鱗の逆立ち、眼球突出、腹水貯留、皮下出血部位の増加

末期症状:全身の鱗の激しい逆立ち、著しい眼球突出、全身皮下出血、腹部破裂

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとしたエロモナス菌の感染

治療方法:塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 カラムナリス感染症(口ぐされ病、鰓ぐされ病、鰭ぐされ病、皮膚ぐされ病) 】

滑走細菌であるカラムナリス菌による感染症です。カラムナリス菌は条件性病原菌です。発症すると菌が産生したタンパク質分解酵素によって、発症部位が溶けて壊死していきます

初期症状:発症部位の充血、淡黄色や白色の付着物の発生、食欲不振、活動量の低下、泳ぎのふらつき

中期症状:発症部位の溶け、発症部位の壊死

末期症状:症状が全身に発生

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとしたカラムナリス菌の感染

治療方法:塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 白点病 】

繊毛虫の一種であるウオノカイセンチュウ(Ichthyophthirius multifiliis)の寄生によって発症します。メダカでの発症例は上記の病気と比較すると少ないです。

初期症状:1mm程度の白点が部分的に低密度で発生

中期症状:白点の範囲と密度の増加、食欲不振、活動量の低下

末期症状:白点が全身に高密度で発生

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとしたウオノカイセンチュウの寄生

治療方法:30℃程度の水温を維持したまま塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 水カビ病(綿かむり病) 】

傷口に水カビが発生する病気です。死卵や無精卵などを放置した場合によく発生するものと同じ水カビです。

初期症状:局所的な水カビの発生、食欲不振、活動量の低下、泳ぎのふらつき

中期症状:水カビ発生範囲の増加

末期症状:全身が水カビに包まれ死亡

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとした体表の傷口への水カビ菌の感染

治療方法:30℃前後の水温を維持したまま塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 立ち泳ぎ病 】

詳細は不明な病気です。内臓系の疾患やMicrobacteriumという細菌の感染が疑われます。孵化時点から症状が表れていることもあれば、成長途中で症状が表れることもあります。

初期症状:痩せる

中期症状:腹部がつぶれたようにやせ細り、頭を上にした状態で頭を振るように力なく泳ぐ

末期症状:泳げなくなり、底に沈んだままになり死亡する

原因:詳細な原因は不明(先天的、後天的な内臓疾患、細菌感染の可能性)

治療方法:内臓系の疾患の場合、治療方法はない。Microbacteriumの感染の場合、水道水で1000倍に薄めた市販のキッチンハイターに受精卵を投入し、攪拌しながら40~60秒漬ける。取り出した後は卵を水道水でゆすぎ、隔離された水槽のきれいな水の中で孵化させ、飼育する。

 

【 転覆病 】

ダルマ体型のメダカによくみられる病気です。

初期症状:腹部が膨張を開始

中期症状:泳ぎが不安定化、時々転覆

末期症状:継続した転覆状態

原因:浮袋の異常、消化不良による消化管内での食物の腐敗ガスの発生

治療方法:浮袋の異常の場合、対処方法はない。消化不良の場合、水温を高めにすることで消化を促進させて治ることがある。

 

【 トリコジナ症 】

繊毛虫であるトリコジナ類(Trichodina)による感染症です。トリコジナ類は条件性病原体とされています。

初期症状:粘膜剥離、肌つやの悪化、食欲不振

中期症状:粘膜の異常分泌による体表白濁、体表を擦り付ける動作、水上へ跳躍、頭を振るような泳ぎ、鰓に感染している場合には呼吸速度の上昇、酸欠による鼻上げ

末期症状:水面や水底に静止した状態になり、酸欠やストレスにより死亡

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとしたトリコジナ類の大量発生、感染

治療方法:塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 吸虫症(ギロダクチルス症、ダクチロギルス症) 】

吸虫類であるギロダクチルス(Gyrodactyus)、ダクチロギルス(Dactylogyrus)の寄生による感染症です。どちらも単為生殖を行なうため、条件が揃えば爆発的に増殖します。ギロダクチルスは卵胎生で、繁殖適温は低水温、体表のいたるところに寄生します。ダクチロギルスは卵生で、繁殖適温は高水温、鰓にのみ寄生します。

初期症状:

(ギロダクチルス)粘膜剥離、肌つやの悪化、体表を擦り付ける動作、水上へ跳躍

(ダクチロギルス)症状ほとんどなし

中期症状:

(ギロダクチルス)肌のただれ、皮下出血

(ダクチロギルス)粘膜の異常分泌による体表白濁、呼吸速度の上昇、酸欠による鼻上げ、頭を振るような泳ぎ

末期症状:水面や水底に静止状態になり、酸欠やストレスにより死亡

原因:水質悪化、ストレス、急激な環境変化、栄養不足などによる免疫力の低下をきっかけとしたギロダクチルス、ダクチロギルスの大量発生、寄生、感染

治療方法:塩浴、薬浴、飼育環境の改善

 

【 過抱卵病 】

初期症状:異変なし(抱卵している状態)

中期症状:腹部の徐々な膨張

末期症状:腹部が破裂して死亡

原因:相性の良いオスが少ないあるいはいない、生殖機能や内臓系の疾患

治療方法:初期、中期の段階であれば、相性の良いオスと混泳させることで回復することがある。生殖機能や内臓系の疾患であった場合には治療方法はない。

メダカを病気にしにくくする世話の仕方

最初に述べたように、メダカは基本的には丈夫な魚なので、しっかりと世話をしてあげると病気になることはあまりありません。ここでは、メダカを病気にしにくくする世話の仕方を紹介していきます。

まずは水温と水質です。メダカは適応能力が高いため、幅広い水温、水質に慣れることができますが、急激な水温、水質の変化にはとても敏感です。急激な変化を受けると、メダカがストレスを感じてしまい、病気に対する抵抗力、免疫力が低下してしまいます。極端な変化を受けると、最悪の場合、即死することもあります。メダカを移動させたり、水槽の水をほとんど換えたりする際にはしっかりと水合わせをして水温、水質に慣れさせることで、メダカのストレスをなるべく減らしてあげます。また、水槽の置き場所は極端に水温、水質が変動しない場所を選びます。例えば、午前中に全く日光があたらないにもかかわらず、午後から強い日光がいきなりあたる場所、屋根の縁の下などの、水面面積に対して雨水が大量に入る場所はなるべく避けてあげたい場所です。

次に日光です。日光には紫外線が含まれており、病気の原因となる細菌類を減らします。水槽内にあてて紫外線滅菌をすることで、水槽内の細菌類がなるべく減らすとともに大量発生しないようにします。屋内飼育で日光をあてることが難しい場合には、観賞魚用のライトを使用します。観賞魚用のライトにも微量ながら紫外線が含まれているものがあるので、朝から夕方にかけて点灯してあげます。紫外線が含まれていないものであっても、メダカの生活リズムを整えてあげることができるので、一定の時間帯に点灯してあげます。

エサもまた重要です。栄養バランスの良い、新鮮で嗜好性の高いエサを適量与えることが重要です。栄養バランスの良いエサでメダカは適度に太り、健康に大きく丈夫に育ちます。成長段階によって栄養バランスを考えて与えていきます。新鮮で嗜好性の高いエサであれば、食いの良くなり食べる量が増えて摂取できる栄養が増えます。また、多少多く与えてしまっても食べ残しが減ります。鮮度の悪いエサを与えると食べる量が少なくなり、摂取できる栄養が減るだけでなく、食べ残されたエサはすぐに腐り、病気の原因となる細菌類のエサとなって細菌類の大繁殖、水質の悪化につながります。エサはチャック付きの袋に入れて、中の空気をしっかり抜いてから冷蔵庫で保管をして鮮度を保ちます。

最後に水作りです。ろ過バクテリアを水槽内に定着させることで水質が安定します。メダカの排泄物はそのままでは有害ですが、ろ過バクテリアは比較的無害なものへと分解してくれるので、水質の急激な悪化を防いでくれます。しかし、ろ過バクテリアが全くない、あるいは少ない状態からでは時間がかかります。そういった場合にはろ過装置を使用します。ろ過装置を使用することでろ過バクテリアが定着するまで水質の急激な悪化を防ぐとともに、ろ過装置がそれらの恰好の定着場所になるため、ろ過装置を使用することはおすすめです。しかし、強い水流が起きるものはメダカのストレスとなるので、メダカが泳ぎ疲れない程度の水流に調節してあげます。ろ過装置の他に、ろ過バクテリアを定着しやすくするために底床を使用することもおすすめします。

以上の世話の仕方でメダカを病気にしにくくすることができます。詳細に関してはここでは割愛し、個別にそれぞれのテーマで紹介します。

外部からメダカを入れる場合のトリートメント方法

外部から新しくメダカを入れる際に病気の原因となるものも一緒に入れてしまうことがあります。また、外部から届くまで移動はメダカのストレスとなり、入れた後にそのストレスが原因で病気になってしまうことがあります。ここでは、外部からメダカを入れる場合のトリートメント方法を紹介します。

まず、外部から入れるメダカ専用の水槽を用意します。しっかりと水合わせをしてその水槽に入れます。この時、メダカが入っていた元の水はなるべく入らないようにします。1週間ほど、3の病気になりにくくする世話をしながら観察をしていきます。もし何か発症した場合には、その病気に対応した対処をします。この期間に病気を発症しなければ、ほとんど問題ありませんが、万が一の場合を心配する場合には、0.3%の濃度で一晩だけ塩浴を行ないます。これ以上の濃度、あるいは時間行なうのはメダカの負担となるので注意が必要です。また、あまり太っていない個体には危険ですので、適度に太らせた後に行ないます。一晩経ったら水を換えて、元の飼育に戻します。以前から飼育しているメダカと一緒にする場合には塩浴を終えてからメダカが落ち着くまで数日間は専用の水槽で待ってあげた方が良いかもしれません。

以上が外部からメダカを入れる場合のトリートメント方法です。

まとめ

メダカは日本産淡水魚の中ではトップクラスで丈夫な魚ですが、累代飼育、品種改良の過程での選別、交配、固定によって体質が繊細化してきて、病気になりやすくなってきています。また飼育下の限られた変動しやすい環境では特に病気になる危険性が高くなります。メダカがなる病気の種類とそれぞれの症状、原因、治療方法を把握しつつ、メダカを迎え入れて、細やかな観察をしながらメダカを病気にしにくくする世話をして、メダカが健康に生きられるように病気から守ってあげましょう。

MEMO
本ページは尾田正二先生(東京大学大学院新領域創成科学研究科)にご協力をいただいたことで無事作成することができています。尾田先生にはこの場を借りましてあらためまして深く御礼申し上げます。

めだか本舗では、続メダカ飼育ページ内で取り上げてほしいメダカ飼育関係のテーマ、内容を募集しています。ちょっとした疑問でも「よくあるお問い合わせ」ページで取り上げさせていただくことがあるかもしれませんのでもしよければリクエスト下さいませ。※リクエスト専用となりますので本お問い合わせについて返信させていただくことはありません、予めご了承ください。-管理人ninomiya-